目次　1、Ｑ＆Ａ　2、開発の経緯　3、おすすめのサイト

Q. 法人オフィシャルな開発なの？
A. いいえ。楽しく勝手にやりました結果がご覧の有り様です。

Q. 無料ですか？
A. 無料です。

Q. 利用とか使用とか、ほんとにほんとで無料なの？
A. だらだらムービーを見ちゃった時間は買い戻せません。されど、得られた感動はプライスレス。

Q. 紹介画面と実際が少し違って見えます。
A. 気が向くたびに微調整しています。ご了承ください。

Q. どこに需要が在るの？
A. 主に開発チームに。あと、あなたのハートの中に。

Q. 売りと価値がよく分かりません。
A. 努力します。

Q. デザインが垢抜けてませんね。
A. すいません。

Q. 正直ダサい。
A. あまり触れないでください。

Q. ランカ派？　シェリル派？
A. シェリル派（プロジェクトマネージャー談）。

　２００８年、６月。
　ことの発端は、仕事の都合で中国に半ば駐在していたジョン（仮名）。時同じく、取材をかねてロンドンを訪れていたアラン（仮名）。
　日本を離れたふたりは、Skype上に互いをみつけ、コンタクトを取り合うことになる。
　理由は簡単だ。ヒマしていたのである。
　中国は通信事情が大変よろしくなく、ジョンは持ち前の技術屋魂と数々の技能を用いてついにネットワーク環境を完備した。
　一方、ロンドン滞在中のアラン。そのホテルは一日あたり１ポンド（およそ￥２５０／当時）で無線LAN、ネットが使い放題であった。以前、泊まったところは１時間１ポンドという無茶苦茶な価格設定だったこともあり、感涙していた。

　仕事で中国へ行ってるジョンはいいとして、アランは軟弱だった。取材名目のクセに朝一番からロンドン市内を探索するには体力がなさすぎた。
　地球の裏側にまで来て、目いっぱい活用できず現地時間、１５時ごろには早々にホテルに引きこもるアラン。国内でインドアだったヤツが国外でアウトドアに羽化するなんて甘いことはなかった。

　そんな事情もあって、ホテルへ戻ってきたアランと、仕事を終え、ヒマな夜を過ごしていたジョンがネット上で対面する。
　互いに母国でなく、しかも地球の裏側同士。その時差、８時間。
　中国の夜は深い。ヒマだ。そこでジョンはとあることを思いつく。
　本国の自宅サーバーに録画したビデオがあるじゃないか！
　──その頃日本では、“超時空要塞マクロスＦ（フロンティア）”の本放送がされていたのである。

　長い夜。ジョンはなんと、自宅から録画したビデオを入手することに成功する。
　なぜそこまでして──観たいのか？
　ジョンは語る。「観たいのではない、誰かと語りたいのだ」
　足掛け２５年、初代からのマクロスファンであるジョン。
　そこへ都合よくSkypeにログインするロンドンのアラン。
　すべてが揃った。
「一緒に、観ないか？」
　それが始まりだった。

　しかし、物事は簡単でなかった。通信環境は悪くない。マシンスペックも充分だ。
　だが──同時にスタートするのが、至難だった。
　再生させて、一時停止。互いにやり取りするのは再生タイム。表示される秒数が、地球を半周する。
「オーケィ、同じタイムだ」
「ならムービーをプレイしようじゃないか」
「ＨＡＨＡＨＡ、いくよ」
「カムカム」
　そして、再生されるムービー。チャットウインドウへ再生タイムをひたすら書き込み続けるジョンとアラン。
　再生タイムは時には早かったり、時には遅かったり……。
　中国と英国。ユーラシア大陸を渡り、ドーバー海峡を抜けて、再生タイムの同期を図ろうとする……そんなバカなことのために、通信ケーブルは敷設されたわけでなかろう。しかし、それがどうした？
　チャットウインドウに次々打ち込まれ、表示される互いの再生タイム。ついに、同期した。
「イエース！　イエース！」
　ユーラシア大陸をはるか越えて、ドーバー海峡を潜り抜け、８時間の時差も関係なく、歓喜の声が同時に上がる。

　ひとしきりムービーを堪能した後、同時再生がもっと楽に出来ないだろうか、という話になるのは自然な流れだ。
　だだ、それだけのことだ。
　だだ、それだけのことで──プロジェクトが始まる。
　それから幾らもしないで、ふたりは帰国した。その後も、一緒にムービーを楽しむことはままあった。
　およそ２年の構想期間を経て、ジョンからアルファ版（のちにイカロスと呼称される）が、アランの元へ届けられた。
　その頃のふたりが、怪異に取り付かれた少女たちの物語にハマっていたのはまた別の話である。